卒業生紹介
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インタビュー
どんなビジネスでも「どこをターゲットにするのか」「お客様がどんなものを求めているのか」を追求してください。
株式会社TABI•SQUARE
米原 亮 様
Ryo Yonehara
一旗揚げたいとかトップに立ちたいという動機はなくて
自分なりの「組織作り」をやってみたかったんです
起業のきっかけは。
私が夢CUBEで足袋(たび)スニーカーのショップを開店したのは2007年ですが、その発端は高校時代にさかのぼります。
奈良公園で人力車のアルバイトをしまして、地下足袋はいてハッピ着て、ももひきに前掛けっていう格好です。その時に外国の方々から「その足袋を欲しい」としきりに言われて。当時は足袋屋をやろうなんて考えもしませんでしたが、その後アメリカ留学や出版関係の仕事を経て人力車の仕事にまた戻って来た時は、前よりも外国の観光客が爆発的に増えていて、しかも皆さんやっぱり「足袋が欲しい」とおっしゃる。
それで自分自身も、ちょっと考えるところがあってお店をやってみることにしました。その時に夢CUBEが第1期生を募集しているのを知人から聞き、面接を受けて選んでいただいたという経緯です。
記憶が正しければ、第1期は50強の応募があって、その中の10店舗ということで「無理かもな」という思いはありました。今でこそ足袋スニーカーである程度の実績があるから皆から「面白いね」って言われますけど、当時はそんな訳の分からん兄ちゃんが足袋を売るって、よく選んでくれだと思います。
ただ僕が起業したのは、会社を経営して一旗揚げたいとかトップに立ちたいとかではなく、足袋を作ってみたいというのでもなく、何て言うかな、「組織作りって、こういうことをしたら、どうなっていくんだろう?」という自分の考えを試してみたいという思いがあったからなんです。だから他の経営者の人たちとお話ししても趣旨が違いすぎていまだにかみ合わない(笑)
それで何を売ろうかと考えた時に、外国に目を向けていきたい気持ちがあった中で「そういうのが欲しい」って声をたくさん聞いていたので、外国人と接点を持つなら足袋がいいんじゃないかと思って決めました。もちろん足袋に思い入れはありますが、だからといって足袋に固執する気持ちは正直なかったです。
夢CUBEのどんな点に魅力を感じましたか?
出版の仕事をしていた頃、夢CUBEとは別のチャレンジショップをいくつか取材する機会があったんです。
でも言い方は悪いですが、どこも「こんなとこでやって、どうなんだ?」みたいな、潰れたお店をパーテーションで間仕切りしただけのような場所で、しかも出店期間はたった1年。これで店出して自立してくださいって言われても、素人ながらに「これでうまくいくわけないやろ」って思っていました。1年だと何かチャレンジして失敗した時にもう1回試す余裕がないじゃないですか。
その点、夢CUBEは1から建物を建てていて、3年間店を出せる。今思えば3年でも短いかな、と思わなくはないですけど、とにかく自分が見てきたのとは全く違って、ここなら本当に何か事業を育てていけるかも、という思えるものがありました。地に足のついたコンセプトやルール決めがあって、商店街が全面的にバックアップするという体制がすごいなと。
集客のために自分で観光情報誌を立ち上げました。
紙媒体の力ってものすごく大きい
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夢CUBEに入って良かった点は。
今は分からないんですが、僕らは一期生だったので良くも悪くも商店街のバックアップがすごかったです。書類の提出とか、中小企業診断士との定期面談とか。「絶対に成功させるんだ」という強い気持ちもあったんでしょう。
ただ当時は正直「なんでこんな色々言われなあかんねん、自分の事業やのに」って思ってました(笑)でも本来は全部自分で考えてやらないといけないことで、嫌々ながらやっているうちに必要性が分かるという、小さい子が親に怒られて大人になったら気づくみたいな感覚と一緒。1人だと手が回らないことも、やらざるを得ない環境を与えてもらったというのはありますね。それと同期の10店舗全員が店舗を持つのは初めてで、気持ちの共有もできるしライバル意識もある。「あそこ、めっちゃうまくいってるやん。どうしよ」みたいな。これが普通にテナント探して出店していたらそうはいきません。そういう共同体的な環境はエネルギーになったと思います。すごい大きかったですね。
もう1つ、3年で必ず出ていくというのも良かったと思います。これが「居てもええよええよ」ってなったらズルズルやって尻すぼみで終わっていたかもしれません。
僕は2010年、ちょうど平城遷都1300年祭のど真ん中で出ないといけなくて、でもその頃はもう奈良全体が上り調子で、テナントがどんどん埋まっていっちゃって、移転先を探すの本当に大変でした。自分も3年後のことまでは準備していなかったんでそこは甘かったんですが、でもあのタイミングで放り出されなかったら余計に甘えちゃうんで。
夢CUBEの3年間で大変だったことは。
収益化の難しさですね。やっぱりあのキャパシティで本気で稼ぐっていうのは、飲食とかは分からないですが、物販では難しいと思います。場所を取らない小物類ではそんなに単価上げられないですし、店の作りからして高級品も扱えませんし。
特に僕らは足袋を売っているので試着が必要で、その場所を取ると人が入れなくなる。でも試着しないと高単価のものが売れない。もう利益を上げるのは大変ですよ。売上は思っていたより上がったのに生活は大変、みたいな。
でも成功体験と共にこうした苦しい経験、学びを実地で得られるのは大きくて、最初から大勝負して失敗するよりはリスクも少ない。だから儲けるのが目的じゃなくて「こうやって、これが規模を大きくしたらこうなるのかな」といったイメージトレーニングをするには、夢CUBEはすごくうまく出来ているというか、ちょうど良い期間や規模感だと思います。
収益を上げるために取り組んだことは。
夢CUBEの立地自体はいいんですけど、弊社の店舗は奥まっていて通りに面していなかったので、どうやって他の人に気づいてもらおうかと考えて、店をやるのと同時進行で観光情報誌を立ち上げたんです。夢CUBE10社の広告をそこに入れて、15000部ぐらい発行して観光案内所とかいろんな場所に置いてもらいました
。そのおかげでお客様も売上もぐっと伸びました。紙媒体が衰退しているとか言われますけど、こうした観光地だと紙の地図の力ってすごいありますよね。
夢CUBEでは色々なことを実験できた。
ここでスタートできたから今があるっていうのはもう間違いないです
夢CUBE卒業後も順調に事業展開され、現在は奈良と鎌倉に足袋とTシャツのショップを出店、パラグアイにも進出予定とうかがっています。
パラグアイで店を出すという話をすると、ほとんどの方が「奈良と鎌倉で成功してるんだから、他の観光地で同じようにやったらいいのに?」と言われます。
でも元々僕が起業した動機は、自分が考えるビジネスの新しい形を試してみたいっていう好奇心。パラグアイに行くのも、今やってるものを持っていって広げるのでなく、その国に住んでニーズに合ったものを1から立ち上げていきたいから。それで向こうでやろうと思ったのがTシャツでした。でもそもそもTシャツを扱ったことがないし、Tシャツのことを何も知らなかったのでまず日本でTシャツ専門店をやってみたという流れです。
感覚としてはビジネスというよりも実験かな。「こうすれば、こうなるんじゃないか」というのを試し続けているだけですね。
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これから起業する方にメッセージを。
僕は自分が考えたことを「チャンスがあるならやってみよう、あかんかったらやめよう」という感じでチャレンジしたのが夢CUBEで、しかも夢CUBEが自分にすごく合っていた。大勝負を打つわけではなく色々なことが、それこそ実験できたっていうね。個人的にはものすごく良い施設だと思います。
先ほど話したバックアップも、たくさんの人に関わってもらえるとのは初めてお店をやる方にはとてもいいと思います。夢CUBEでスタートできたから今があるっていうのはもう間違いないです、もちろん。それと、これはどんなビジネスにも言えますが、どこをターゲットにするのか、お客様がどんなものを求めているのかを追求していってほしいと思います。
これに関しては観光地のビジネスは本当にシンプルで、目の前を歩いている観光客にどうアプローチするかなので、観光客の気持ちだけを考えれば良い。財布の紐も緩いですから、ここは地の利はあります。あとは外国人に受けるかどうかですが、日本に来る外国人の気持ちを、皆さん意外に分かっていないように感じます。そういう顧客のニーズを拾う意識は、私は人力車の仕事で培われたと思います。鍛錬させられたというべきかもしれないですね。
トータル8年ぐらい車夫をやりましたが、とにかく歩いている人のニーズを拾わないと乗ってもらえないんで、相手のニーズにどう応えるかばっかり考えて接客していました。だって人力車、当時でも1時間1万5千円とかですよ。めっちゃ高いですから単に「乗ってください」って言ってもまず乗られないです。「ここ、回れますよ」と言う前に、そこを回りたいかどうかを聞いて、探って、先回りして「こんなんあります」「それは行ってみたいな」となってやっと乗ってくれる。そういうニーズを拾う作業の繰り返しでした。どれだけ自分が長けているかは分かりませんが、そこはちょっと得意かもしれませんね。だからもしかしたら、夢CUBEでなくても自分の感覚である程度はできたかもしれないですが、所詮は感覚頼りでやっていたのを具体的に「こうしなさい」みたいなのを教えてもらえたというのはありますね。
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店舗情報
住所:奈良市樽井町2-2F
電話:0742-26-3588
営業時間:10:00~19:00
定休日:毎週水曜日
ホームページ:https://tabiji.co.jp/