卒業生紹介

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インタビュー

店を持つのはゴールではなくスタート。その先に、自分は何をやっていくのかをしっかり持っておくべきです。

株式会社HARUHINO 代表取締役

辻之所 恒久 様

Tsunehisa Tsujinosyo

この商店街は昔からよく知っていて
「将来ここで起業できたらすごくいいよな」と思いながら過ごしていました

今のお仕事に就かれるまでの経緯を。

高校卒業後、東大阪の工場に12~13年勤めていました。おむつの圧縮袋か何かの製造で、それなりの大手でしたが、窓もない閉鎖された空間でずっと同じ作業の繰り返し。自分の作った製品がお客様の手に渡るところはまず見れないし、満足感や達成感がないというのをずっと抱えてて、その頃に漠然と「いつか創業がしたい」って。お客様の笑顔が見られるカフェにあこがれていましたね。
その後、工場系の人材派遣会社に転職して、そこでスタッフさんの採用や教育、現場の運営や社内管理など様々な業務を経験しました。

転機は、東京転勤の話が来た時です。その頃はもう精神も体もボロボロで、仕事は忙しいし責任も重いし、でも家のローンもあるし子供も高校受験を控えていて、色々考えないといけない。そして僕は奈良が大好きで、奈良で何かがしたいという思いがあったので離れたくなかった。それで「動くんだったら今しかない」と退職を決意しました。
実は転勤を言われる10ヶ月ほど前から、将来に役立てばという気持ちでレザークラフトの教室に通っていたんです。カフェの傍ら、革細工を販売したりスクールをしたりで何とかやっていけるのかなと考えていました。

初めからレザークラフト一本で身を立てるつもりはなかったんですね。

そうなんです。それで転勤の話が出た時に、起業するなら何をすべきかを本気で考えました。「カフェの心地よい空間でゆっくりお茶を」というのは憧れだったけど、それはお客様の体験であって自分がそうするためのものでない。認識を改めて、自分の得意分野であるモノづくり、レザークラフトで起業しようと決めました。
そして起業にあたって情報を集めていた時に夢CUBEの存在を知ったんです。この商店街は昔からよく知っていたし、前職の頃も近くに来ていたので「無理だろうけど、このへんで将来起業できたらすごくいいよな」とか思いながら過ごしていました。

2014年5月に会社を辞めて、それから当時夢CUBEに入っていた方々に、入れてもらうにはどんなことをすればいいのか、どういう面接があるのかなど全部ヒアリングしました。夢CUBEは最初に事業計画書での書類審査、次に面接があるんですが、事業計画書の書き方が全く分からなかったので、商工会に行って「これ書かないといけないんです。人生かかってるんです」って話をして。実際、本当に背水の陣というか生きるか死ぬかの思いでした。家のローンもあるし蓄えもないし、奥さんが働いてるわけでもない。もう夢CUBEに何としても入らないと一家どうするんだと。その時の担当者の方が親身に相談にのってくれて、色々教えていただいて面接も臨めました。

客足が絶えないので、店は商品のPRに注力すれば良い。
こんな恵まれた環境はありません

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こちらではどんな商品が売れますか?

カバンや財布、特に奈良にちなんだ正倉院文様を使ったものが人気ですが、数で一番売れてるのは、ちっちゃな鹿さんのキーホルダー。やっぱり売れるんですね。「奈良は鹿か大仏ばっかり」って言われるんですけど、鹿と大仏が皆さん好きなんですから(笑)それがきっかけで奈良に来られているわけで、みんなもっと活用したらいいのにと思います。
正倉院の模様を取り入れたのは開業して3年目か4年目ぐらいです。それまで奈良にちなんだもの、HARUHINOにしかできないものは何かと試行錯誤して、最終的に正倉院のエスニックでちょっと不思議な文様は面白いんじゃないかなと。もし自分に「やりたいのはこれ」というこだわりが強すぎたら行き着かなかったかもしれない。

あと僕は、店というのは商品にお客様がつくのではなく店主についてくるものだと教えられたので、自分をできるだけさらけ出してきました。SNSでも「自分はこういう人間なんですよ、もし興味あったら、機会があればお越しください」みたいな。
観光で奈良に来られて、そこでつながってネットで売れるというのもあります。うちのお客様は東京方面の方々も結構多いんです。毎年奈良に来たら必ず寄っていただける感じの関係性があります。こういうコミュニケーションができるのも今の時代こそかもしれませんね。

夢CUBEに入られて良かったことは。

何より観光地に隣接していて、お客様が店の前を常に歩いている点です。あとはどうやって店に来ていただき、商品の魅力を伝えて買っていただくかを頑張れば良い。こんなに恵まれた環境はないし、夢CUBEの最も大きな利点だと。これが自分一人で町の外れにポンと店を出しても、成功する可能性はだいぶ低いと思いますね。
それに他の物件だと創業にあたって改装費が数百万円必要だったりしますが、夢CUBEは箱がもうできていて、極端な話、棚とレジがあれば商品を置いて商売できるのでお客様がある程度来ていただけたらやっていける。私も初月から黒字化できました。

もう一つは、夢CUBEという集合体の中で他のお店と切磋琢磨できるという環境が素晴らしいです。仲間でもありライバルでもあり、お互い競い合ってやっていけるのはすごくありがたいなと。それに先輩方や同士の話を聞けるのは、ものすごく勉強になります。こうした関係性も夢CUBEならではですよね。お互い頑張って商店街として盛り上げていかないといけないので、一緒にイベント企画したりテントの設営したり、運命共同体みたいなところがありますね。

あと僕は2年目ぐらいから次の物件を探し始めまして、そういう情報ってなかなか外に出ないものですが、大家さんも「全く知らない方に貸すよりは、夢CUBEで頑張っている店に来てくれた方が安心だ」というのがあるようで。そういった信頼関係があるのも夢CUBEの強みです。

たぶん奈良って、とても創業しやすい土地柄だと思う。
文化遺産や歴史もあるし、戦える環境が整っている

夢CUBEを卒業して7年になりますが、今でも夢CUBEの方々との交流は?

同期の人たちや当時の事務の方々ともよくお話ししますし、困っている人から相談を受けたりもします。よく「経営者は孤独で寂しい」とか言われますけど、この商店街で活動している上では孤独とか寂しさというのはないですね。
僕はここの副理事長という役職柄もあって、皆さんの関係作りを手伝わせてもらっています。僕らが通ってきた道を彼らも通っていくので、何かアドバイスできることがあればとも思うし、できれば卒業後も商店街に店を出していただいて一緒に盛り上げていければという気持ちですね。
もちろん自分の商売だけじゃなく商店街の活動やイベントにも時間を多少取られるという、前向きな意味での大変さはあります。全員でやれればいいんでしょうけど、どうしても動ける人に限られてきて一部の人が掛け持ちせざるを得ません。でも、こうした活動も自分の事業や自分の成長に結び付くと考えています。

これから夢CUBEでの起業を目指す人たち
へのメッセージを。

店を持つことはゴールではなくてスタート。これを間違える方が結構多くて、念願の店を持てたところで満足してしまう。夢CUBEへの出店は手段であって、その先に「自分は何をやっていくのか」はしっかり持っておくべきだと思います。僕も夢CUBEを離れてからがやっとスタートと考えていたので、この好立地のエリアで長く商売させてもらうためにも、商店街の活動にはどんどん積極的に参加していって、自分が吸収するのと同時に自分のことを周りの方々にも知ってもらえるように動いていました。

また観光地とはいえ皆さん毎日ものを買ってくれるわけではないので、そこは覚悟を持って、退路を断ってじゃないですが、本当に全身全霊で臨んでもらいたい。僕の場合は本当にラッキーもあったと思いますが、やはりそれぐらいの覚悟を持ってやってきました。夢も大切ですが何よりも現実の生活があるので。当然家賃も毎日発生しますし生活費も稼いでいかないといけない。

あとこれもよく皆さんに話すんですけど、良いものを持っているのに商売がうまくいかない方には、聞くべきアドバイスを聞かない頑固なタイプが非常に多い。理念や信念は必要ですが、その芯をずらさないためにも柔軟に構えてほしいなとは思います。

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夢CUBEでの3年間に得られた一番大きなものとは。

それは成功体験ですね。「意外にやってみたらできるな」という。僕みたいにそれこそ石橋を叩き壊して何もしない(笑)堅実派の人間でも、追い込まれてエイヤで起業して、がむしゃらに頑張ったら、10年以上たっても何とかやっていけてる。これはやっぱり自信になりますし、それでこそ次の事業や目標に向かって進めていけると思うので。

成功体験ということで言うと、たぶん奈良って、とても創業しやすい土地柄じゃないでしょうか。参入障壁や競合の数でも、資金面のハードルの高さでも、奈良で起業するのが県大会だとするなら東京や大阪はいきなり世界大会に出るようなもの。どちらが生き残りやすいか、自分のやりたいことをやりやすいかは明らかですよね。それに奈良にはいろんな文化遺産や歴史もあって、いくらでも戦える武器はある。そういう環境、土壌が整っている奈良はものすごく魅力的です。

僕が夢CUBEに来た頃はこの辺もちょっと閑散としていましたが、今は商店街の皆さんもずいぶん雰囲気が変わってきました。「夢CUBEネクスト」ができたら、またがらっと変わっていくんだろうな。楽しみですね。

店舗情報
革遊びHARUHINO

住所:奈良市餅飯殿町11番地

電話:0742ー26ー5517

営業時間:10:00〜19:00

定休日:毎週木曜日

ホームページ:https://haruhino.jp/

革遊びHARUHINO
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